はじめに
IT資格を取得したいけれど、種類が多くてどれを取得すれば良いのかわからないという方は多いかと思います。
確かにIT資格の種類は多種多様なので、IT未経験の方にとってはどの資格が自分に必要なのか迷ってしまうでしょう。
本記事では国家資格に重点をおいて説明していきます。資格取得の足がかりになればと思います。
IT資格の種類
IT資格には「国家資格」「ベンダー資格」「ベンダーニュートラル資格」の、大きく3つに分けた資格が存在します。
簡単に説明すると、
国家資格:「国」が公的に認定する資格
ベンダー資格:「民間の企業」が認定している資格
ベンダーニュートラル資格:「その他の機関」が認定する資格
というように分けられます。
中でも国家資格は国が認定する資格だけあって、この中では最も評価が高く、就職や転職、給料交渉などにも有利に働く資格です。
ベンダー資格とは
ベンダー資格に関しては、基本的には企業が提供している「商品」に対する資格ですが、IT業界でも多く使われている商品であれば、ベンダー資格を保持していることで評価を得られる場合もあります。
表計算ソフトなどで知られる「マイクロソフト」社の資格である「マイクロソフト認定資格」や、Androidアプリケーションの開発技術を証明する「Android技術者認定試験」等を始め、
アドビやアップル、オラクルなど多くの企業がベンダー資格を実施しています。
ベンダーニュートラル資格とは
ベンダーニュートラル資格は、上記で説明してきた通り、「国」や「企業」以外の機関が実施している資格を指します。
代表的なベンダーニュートラル資格では、HTML5の技術を証明する「HTML5プロフェッショナル認定試験」や、Linuxの技術を証明する「LPIC」といった資格が有名です。
ベンダーニュートラル資格に関しては、企業によっては評価が得られる場合もありますが、スキルアップを目的として取得する方が多いようです。
IT資格のメリット
最大のメリットといえば対外的にスキルを証明できることかと思います。
資格を取るためには勉強・復習をしなければなりませんので、基本的なスキルを正しく身に付けることができます。
例えば、国家資格である「基本情報技術者試験」を持っていれば、コンピューターのしくみやシステム開発工程、プログラム言語など、システムエンジニアとして必要な知識の基礎ができている人だと証明できるわけです。
さらに、基礎が身に付くことで、それを応用した難しいシステムの開発ができるようになったり、さらなるスキルアップができたりと、現場での仕事の向上も期待できます。
では具体的に、現在ITに関連する資格を持っていないという方は、どのIT資格を狙っていけば良いのでしょうか。
同じIT資格でも種類(系統)の違いや、難易度(スキルレベル)の違いがありますので、目的やレベルに合わせて取得を目指してみましょう。
(今回は国家資格をピックアップしました。)
入門者におすすめのIT資格:ITパスポート
IT関連の資格を取得するのに、最も初心者である方におすすめとなるのが「ITパスポート(IP)」です。
試験区分はスキルレベル1と、IT関連資格の国家資格の中でも、最も難易度の低い国家資格となっています。
ITパスポートに関しては、エンジニアとしての入門編というよりかは、ITそのものの入門編とも言える資格ですので、IT企業のみならず、様々な企業でも活用することの出来る資格となっています。
問題数は100問で、CBT方式と呼ばれるコンピューター試験にて行われます。基礎的なIT問題が多く、4択問題で出題されるので、IT資格の入門にも最適な試験となっています。
入門者にはとてもおすすめです。
試験の概要
スキルレベル:1(ITを利活用する者が対象)
合格率:48.3%(H28実績)
受験会場:全国各地
試験実施日:随時(試験時間 120分)
入門者におすすめのIT資格:基本情報技術者試験
情報技術全般に関する基本的な知識・技能をもつ人や、プログラム設計書を作成し、プログラム開発、単体テストまでの一連のプロセスを担当する人のための国家資格です。
テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の各分野から幅広く出題されます。
合格率は約25%であり難易度はやや高いですが、数少ない国家資格なのであらゆる業界でニーズがあります。
未経験からITエンジニアへの転職を考えている方や新卒の学生の方は就職活動前の取得を検討すると良いと思います。
試験の概要
スキルレベル:2(情報処理技術者が対象)
合格率:22.1%(H29実績)
受験会場:全国各地
試験実施日:4月第3日曜日、10月第3日曜日(午前〜午後まで実施)
入門者におすすめのIT資格:応用情報技術者試験
続いての資格は応用情報技術者試験です。こちらの資格は基本情報技術者試験の上位に当たる資格のため、続けて受験すると取得がスムーズになると思います。
この試験の特徴は「出題範囲が非常に広いこと」が挙げられます。
内容としては「基礎情報技術者」と同じですが、レベルは高くなります。
その点から考えても、他のエンジニアと差をつけて一歩前に進むのであればぜひ取得しておきたい資格の一つです。
試験の概要
スキルレベル:3(情報処理技術者が対象)
合格率:21.0%(H29実績)
受験会場:全国各地
試験実施日:4月第3日曜日、10月第3日曜日(午前〜午後まで実施)
エンジニア系おすすめのIT資格:システムアーキテクト
情報処理技術者試験の中でも、最高難度であるスキルレベル4の国家資格「システムアーキテクト」。
ITストラテジストからの提案を元に開発を行い、調査や分析、設計と、実際に開発に携わる主導者として活躍できる人材であることを証明する国家資格です。
ITエンジニアの中でも上級エンジニアを目指す方には必須となる資格ですが、実務未経験の方でも学習次第では取得可能な資格でもあります。
とはいえ、記述式の問題もありますので、実務経験が無い方は、こうした問題に対しての対策も必要となってくるでしょう。
試験内容は午前に50分と40分の2部、午後は90分と120分の、計4部の試験が行われます。
午前の試験では4択問題で出題され、午後の試験では記述式が90分、論述式が120分となっており、出題範囲に関してもかなり広い分野の知識を要する内容となっています。
試験の概要
スキルレベル:4(高度情報処理技術者が対象)
合格率:12.7%(H29実績)
受験会場:全国各地
試験実施日:10月第3日曜日(午前〜午後まで実施)
【午前Ⅰ】(50分)
多肢選択式(四肢択一)
出題数30問・回答数30問
【午前Ⅱ】(40分)
多肢選択式(四肢択一)
出題数25問・回答数25問
【午後Ⅰ】(90分)記述式
出題数4問・回答数2問
【午後Ⅱ】(120分)論述式
出題数3問・回答数1問
マネージャ系おすすめのIT資格:プロジェクトマネージャ
プロジェクト全体の意思決定を実行し、品質・コスト・納期に全責任をもち、前提・制約条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、プロジェクトメンバを成長させるマネージャを目指す方に最適な国家資格です。
プロジェクトマネージャ試験では開発の技術的な要素ではなく、プロジェクトのスムーズな進行や、人員のマネジメントについて主に問われます。(午前試験の共通問題は除く)
特に論述が重要視されており、平成28年度春期試験の午後2試験では、3つの設問それぞれ「800文字以内」「800字以上1600文字以内」「600字以上1200字以内」で回答せよと求められています。
つまり、最長で原稿用紙のべ9枚分もの文章を、2時間という短い時間で書き上げる必要があるのです。
もちろん下書きをして書き直している暇などなく、考えながら書き続け、論理を破たんさせずに結論まで導かなければなりません。
これは日頃から文章を書き慣れていなければ難しい量で、多くの方にとって試験の難度を引き上げている要因となっています。
試験の概要
スキルレベル:4(高度情報処理技術者が対象)
合格率:13.1%(H29実績)
受験会場:全国各地
試験実施日:4月第3日曜日(午前〜午後まで実施)
【午前Ⅰ】(50分)
多肢選択式(四肢択一)
出題数30問・回答数30問
【午前Ⅱ】(40分)
多肢選択式(四肢択一)
出題数25問・回答数25問
【午後Ⅰ】(90分)記述式
出題数3問・回答数2問
【午後Ⅱ】(120分)論述式
出題数2問・回答数1問
まとめ
数あるIT資格の中から、おすすめの国家資格をピックアップしてご紹介してきました。
自分がどの資格を取得すればよいのか、資格取得ステップアップの図を参考にしてみてください。
沢山の種類があるIT資格ですが、その中でも国家資格を取得していれば、自分のスキルの証明に大きく活用することができるでしょう。
自分の基盤を固めるという意味でも取得を考えても良さそうです。
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